債権譲渡登記制度の概要

債権譲渡登記は、ファクタリングの契約時に利用されることがあります。ファクタリングにおいて債権譲渡登記が必要な理由や実情について解説します。ファクタリングの利用を検討している方は参考にしてください。

債権譲渡登記はファクタリング契約の際に行われる

債権譲渡登記は、あまり知られていない登記制度です。

最近は民法の改正を背景に、債権譲渡を活用した資金調達が注目されています。

なかでもファクタリングの利用者は年々増加。ファクタリングの契約時に債権譲渡登記が活用されることがあります。まずは、債権譲渡登記の全体像と目的について理解しましょう。

ファクタリングにおける債権譲渡登記の全体像と目的

まず登記制度とは、不動産や債権などにおける法律上の権利関係を公に示すことを目的としています。

法務局の管理する登記簿に権利関係が記録され、誰でも閲覧できる状態となります。登記簿に記録された権利は、第三者に対抗することができます。

債権譲渡登記は、債権譲渡の事実を「債権譲渡登記ファイル」に記録することを意味します。債権譲渡の事実が記録されることで、第三者に対して債権譲渡の事実を対抗することができます。

債権は、民法第466条に基づく「債権の譲渡性」により、原則として他人に自由に譲渡できます。しかし債権は、不動産と異なり目に見えない権利であり、誰にいつ譲渡されたのかを第三者が知ることは困難。

そこで活用されるのが債権譲渡登記です。例えば、ファクタリング会社と利用者の契約で完結する2社間ファクタリングにおいては、債権譲渡登記が活用されます。

債権譲渡登記によって、ファクタリング会社へ債権が譲渡された事実を第三者に対抗できることになります。

ファクタリングで債権譲渡登記を利用するメリット

ファクタリングは債権譲渡による資金調達です。債権譲渡の記録を登記することで、債権譲渡の事実が公示されます。第三者に対して債権譲渡の事実を対抗できるため、ファクタリングにおいて利用されることがあります。

ファクタリングで債権譲渡登記を利用するメリットは主に「二重譲渡の防止」と「ファクタリング業者のリスク担保」にあります。

二重譲渡の防止

二重譲渡とは、一つの債権を複数の人に譲渡することです。譲受人が二人になるため、どちらを優先するのかについて問題が発生します。特に、債権は自由に譲渡ができ、目に見えない権利であるため二重譲渡が発生しやすいといえます。債権譲渡登記を利用することで、第三者対抗要件を満たし二重譲渡におけるトラブルを回避できます。

ファクタリング業者のリスクを担保できる

ファクタリング契約時に、債権譲渡登記を求める業者はリスクを担保する狙いがあります。前述した二重譲渡の防止により、債権が譲渡された事実を第三者に対抗できるため、未回収やトラブルのリスクが下がります。ファクタリング業者のリスクが下がることで審査に通過しやすいといった利用者側のメリットもあります。

ファクタリングで債権譲渡登記を利用するデメリット

債権譲渡登記は、デメリットがあるため利用されないことも多くあります。デメリットとして、煩雑な登記手続きにより入金されるまでに時間がかかることや債権譲渡の事実が売掛先に知られてしまうといったことが挙げられます。債権譲渡のデメリットについて詳しくみていきましょう。

入金までに時間がかかる

ファクタリングは、資金調達の中でも入金までのスピードが早いことが特徴です。最短、即日入金されることもあります。しかし、債権譲渡登記を要するファクタリングの場合、入金までに時間がかかります。登記申請の手続きに時間を要するため、早めに入金が必要な方は、債権譲渡登記が不要なファクタリング業者を利用しましょう。

売掛先に債権譲渡の事実を知られる

債権譲渡登記によって、債権譲渡の事実は公示されます。法務局で管理される債権譲渡登記ファイルは、誰でも閲覧できます。そのため、債権譲渡登記をすることで、売掛先に債権譲渡が知られてしまう可能性があります。

登記費用が発生する

債権譲渡登記をする際には、登録免許税や司法書士報酬等の登記費用が発生します。多くの場合、ファクタリング利用者が負担します。ファクタリングによって資金調達できる金額が減ってしまうため注意が必要です。

利用者は法人のみに限定される

債権譲渡登記は、法人のみが登記できます。個人事業主やフリーランスは登記できません。そのため、個人事業主やフリーランスの方は債権譲渡登記なしで利用できるファクタリング会社を探しましょう。

ファクタリング契約における債権譲渡登記の実情

債権譲渡登記を求めるファクタリング会社がある一方で、債権譲渡登記が不要なファクタリング会社も多くあります。特に、入金スピードの早い会社や少額債権を対象にしているファクタリング会社は、債権譲渡登記を利用しない傾向にあります。

基本的に、債権譲渡登記はファクタリング会社にとってメリットの大きい手続きです。

債権譲渡登記によって、利用者の信用情報に影響することはありませんが、スムーズな手続きを希望する方は、債権譲渡登記の不要なファクタリング会社を利用しましょう。

また、ファクタリング会社によっては、債権譲渡契約は結びますが登記はせずに留保することもあります。登記費用の節約や手続きのスピードを上げるために用いられます。

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